新宿心療内科・ゆうメンタルクリニック秘密コラム 「『楽』という漢字の読み方は、一つしかない」
「『楽』という漢字の読み方は、一つしかない」
◆ 「楽」を何て読みますか?
「楽」。
あなたはこの漢字を、どう読みますでしょうか。
実はこの漢字。
読み方が、「一通り」しかないのです…。
今夜はそんな話です。
◆ 作業量と喜びの関係は。
実は南カリフォルニア大学の心理学者であるベルテンは、被験者たちに作業を行ってもらい、作業の量と、気分の関係を調べました。
すると。
1分あたりの作業量が多いグループは、少ないグループに比べて、楽しい気分でいることが多くなりました。
逆に少ないグループは、気分がどんどん暗くなってしまうことが分かったのです。
すなわち人間、「色々と多くの作業をやっている方が、気持ちがアップしてくる」ということなのです。
そういえば、かの「相田みつを」さんの言葉に、こんなのがありました。
「なんでもいいからさ
本気でやってごらん
本気でやればたのしいから
本気でやれば つかれないから
つかれてもつかれが さわやかだから」
最初に読んだとき、
「つかれないって言ったのに、つかれるの!?」
とか思ったのですが、それでも言っていることは真実な気がします。
何かに夢中になるほど一生懸命にやる。
そうすれば、気持ちはかえって高まっていきます。
「いやいや、俺は仕事が忙しくて大変なんだ!
それで気持ちが落ちてるんだってば!」
という人もいるかもしれません。
しかしそういう人は、それこそ「イヤイヤ」やっていて、その結果、無意識にその仕事から、気持ちを引いていませんでしょうか。
それにより、作業の能率も落ちている可能性だってあります。
そのため全力でその仕事を楽しんで立ち向かっている人に比べて、気持ちが落ちてしまうわけです。
色々なものをパパパッと片付ければ、「お、自分、できるんじゃない?」という自信が湧いてきます。それが結局、活力につながってくるわけです。
実際、大企業の社長や、起業家などは、毎日大変な仕事を抱えています。
売れっ子アイドルだって同じです。
しかし不思議と、彼らはイキイキとしています。
逆に、毎日特にやることもなく、パチンコで朝から座っている人…。
彼らはヒマではありますが、楽しそうかというと、そうではありませんよね。
とにかく色々なものに立ち向かい、全力でこなしている…。
それによって、かえって気持ちは高まっていくわけです。
◆ 何もしないと…。
実際、ゆうメンタルクリニックに来る方の中には、仕事や職場の人間関係でストレスを抱えて、休職される人も多かったりします。
もちろん休むことは大切で、非常に意味があることです。
しかしだからといって、ただ漠然と家で休んでいるだけでは、今の理論から、かえって気持ちは落ちていってしまいます。
そのため、
・一日に一回は外出すること
・好きな本を読んだり、人に接したりすること
・趣味を見つけてみること
などをアドバイスしています。
「何もしない」より、とにかく何でもいいので、楽しめるものを見つける方が、ずっと気持ちは高まっていくわけです。
人間、時間が余るほど、必ずしも精神衛生状態が良くなるわけではないのです。
◆ プラスαを、してみよう。
もちろんそれでも「今の仕事が楽しくない! それが大変でイヤだ! でも生活のために休むこともやめることもできない…」という人もいるでしょう。
そういう人は、それこそ「副業」を勧めます。
たとえば作家になりたいなら、ネットで発表してみる。
何かを書いて、出版社に持ち込んでみる。
新しい仕事を考えているのなら、そのための勉強をしてみる…。
何でも構いません。
もちろん、今より「忙しく」なることでしょう。
しかし不思議と、今までよりイキイキしてる自分に気づくのではないでしょうか。
人間、やりたいことであるなら、楽しみが増してくるものです。
◆ リタイヤ、したいですか?
よく「お金をためて引退したい!」「早くリタイヤして、何もしないで得られる収入だけで生きていきたい!」という人がいます。
でもですね。
それ、退屈ですよ?
何の楽しみもありませんよ?
「いやいや、自分はそうなってから、楽しい趣味を見つけるんだ」
というのなら、いやそれ、仕事と並行して、今すぐすればいいだけでは、と思います。
何でリタイヤしないとできない、と思っているのか分かりません。
いずれにしても、「時間さえあれば幸せだ」「何もやることがなくなれば楽しい」と思うのは、間違いなのです。
◆ 「楽」の読み方は。
そう。
「楽」という漢字は、「ラク」とも読みますし「たの(しい)」とも読みます。
そして、決して同時に読むことはできないのです。
あなたが「ラク」に感じているのなら、それは決して「楽しみ」ではありません。
また「楽しい」と感じているなら、決してそれは「ラク」ではないでしょう。
人は、大変に感じ、一生懸命やるからこそ、楽しみを感じることができるのです。
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● 今回のまとめ。
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○ ラクに、楽しみはない。楽しみは、ラクではない。
◆ さいごに。
あなたは人生でもっともつまらないものが、何か分かりますでしょうか。
それは言うまでもなく「何もしない」ことです。
ではそれより一段階楽しいものは、何か分かりますでしょうか。
それこそが「誰かが作った、いいものに接すること」です。
本、マンガ、テレビ、映画、絵画、音楽…。
そんな、人が作った、素晴らしい作品に接することは、とても快感です。
でも。
この世でもっとも幸せで快感なこと。
それこそが、「自分で何かを作ること」です。
自分自身にとっては、1つ1つの仕事です。
あなたにとってのそれは、何でしょうか?
でもだからこそ、楽しみを感じることができるんですよ。
(完)
ご指摘本当にありがとうございます!
あとは強いて言えば「楽観」→「らっ」 「楽器」→「がっ」でしょうか。
「あ、これ? 彼氏に買っても楽楽(らったの)!」
みなさまここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。